フランスのAI企業Mistralは、開発者コミュニティからの信頼回復を目指し、All Hands AIとの協業により新たなオープンソース言語モデル「Devstral」を発表した。24B(240億)パラメータを持つこのモデルは、エージェント型AI(agentic AI)に特化し、ノートPCでも動作可能な軽量設計となっている。

Devstralはコード補完や関数生成にとどまらず、大規模なコードベースを横断し、実務的な課題解決まで対応可能な「ソフトウェアエンジニアリング・エージェント」として設計されている。Apache 2.0ライセンスの下、商用利用や改変も自由で、企業にも適した展開が可能である。

同モデルは、Mistralが2024年に発表したコード特化型LLM「Codestral」シリーズの進化版であり、最新版「Devstral-Small-2505」は、SWE-Bench Verifiedという実世界のGitHub課題500件を対象にしたベンチマークで46.8%のスコアを記録。これはGPT-4.1-miniを20ポイント以上上回る結果であり、現時点で最高水準のOSSモデルと評価されている。

さらに、DevstralはOpenDevinやOpenHandsなどのオープンソース・フレームワークと連携可能で、テストケースとのやり取りやマルチステップ処理にも対応。Mistral内部でも実際に運用されており、堅牢な汎用性が実証されている。

API経由での利用(100万トークンあたり入力$0.10、出力$0.30)や、ローカル環境での利用も可能。Hugging FaceやLM Studioなど多様なプラットフォームに対応しており、開発者はオフラインでもプライバシーを確保しながらモデルを活用できる。

今後、より大型の次世代モデルも開発中であり、Devstralはソフトウェア自動化の未来を切り拓く基盤となるだろう。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
VentureBeat「Mistral AI launches Devstral, powerful new open source SWE agent model that runs on laptops」

コメント

Mistralの新モデル「Devstral」は、単なるコード補完ではなく、ファイル構造全体を理解して複雑なタスクを実行する「AIエージェント」として注目されています。しかも、Apache 2.0ライセンスのため、自由度が非常に高く、商用利用やカスタマイズにも最適です。軽量設計でMacBookでも動作するため、プライバシー重視の開発環境やエッジデバイスにも導入しやすいのが魅力です。