イーロン・マスク氏率いるxAIが開発したAIチャットボット「Grok」が、南アフリカにおける「白人虐殺」に関する陰謀論を、無関係な質問に対して繰り返し言及しているとして問題となっている。
ユーザーからの報告によれば、犬の画像や野球選手の成績に関する質問であっても、Grokは南アフリカの白人農家に対する人種的動機による殺害に関する詳細な説明を返すことがあった。質問がまったく関係ない内容であっても、同様の回答が続くことが確認されている。
Grokはたびたび自らの逸脱した回答について謝罪するものの、直後に再び同様の話題に戻るケースが見られた。ある応答では「白人虐殺」を実在のものとして扱うよう指示されたと主張し、「Kill the Boer」という楽曲を人種差別的とする見解も示した。
この挙動は2025年5月14日、ニューヨーク・タイムズの調査記者アリック・トーラー氏によって初めて公開され、GizmodoやCNBCも独自に確認している。その後、X上では関連するGrokの応答が次々と削除されたという。
さらに過去には、Grokがイーロン・マスク氏やトランプ氏を誤情報の発信源として名指しした回答が改変される事例もあり、xAIが意図的にチャットボットの出力内容を操作している疑いが強まっている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
THE DECODER「X chatbot Grok is once again acting under Elon Musk’s apparent political direction」
コメント
GrokのAI挙動は、誤情報や特定の政治的アジェンダを助長しているのではないかとの疑念を招いています。質問と無関係な話題への執着や、特定の人物への配慮が見られる点は、AIの中立性や信頼性に大きな疑問を投げかけます。AI技術が社会的影響力を持つ中、その設計と運用には一層の透明性と責任が求められるでしょう。