米商務省は、中国の通信大手ファーウェイが開発する「Ascend」シリーズのAIプロセッサ使用が、米国の輸出管理規制に違反する可能性があるとの新ガイドラインを発表した。これにより、Ascend 910B、910C、910Dといったモデルが対象となり、同プロセッサが米国技術を用いて設計された、あるいは米国製ソフトウェアに依存する製造装置で生産された場合、輸出規制の適用を受けることが明確化された。

ファーウェイは現在、中国国内でAscend 910CベースのAIクラスタを出荷しており、計算能力やメモリ性能の面でNvidia製品を上回ると主張している。ただし、単体のプロセッサ性能では依然としてNvidiaの最上位モデルに劣るとされる。

同時に、米政権はバイデン政権下で導入が予定されていた「AIディフュージョン・ルール」を撤回した。この規制は、AIチップの輸出をメキシコやポルトガルなど多数の国々に対して制限する内容であり、中国やロシアに対してはさらに厳格な措置が講じられる予定であった。

この一連の発表は、ドナルド・トランプ前大統領のサウジアラビア訪問に合わせて行われたものであり、その場では国家主導のAIインフラ整備を目的とするHumain社とNvidiaとの協業も発表された。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
THE DECODER「U.S. is cracking down on Huawei’s AI hardware while loosening its general export regulations」

コメント

米中のAI技術を巡る緊張が再び高まっています。米国はファーウェイ製AIチップの使用に対して規制強化の姿勢を明確にしつつ、バイデン政権が推進していた輸出制限ルールも見直しています。背景には、AI半導体分野での覇権争いと、国家間の技術依存リスクを巡る戦略的な判断があります。AI分野での地政学的リスクは今後も続くと見られ、企業や投資家にとっても注視すべき動きとなっています。