サウジアラビアはAIインフラ構築に本格的に乗り出しており、Nvidia、AMD、Amazon Web Services(AWS)など米国の主要テック企業と提携し、新設された国営AI企業「Humain」にチップ、ソフトウェア、大規模データセンターを供給する計画を進めている。
Bloombergによれば、今後数年でHumainは数十億ドル規模のAIインフラを整備する予定である。Nvidiaは最大500メガワットの計算能力を持つ「AIファクトリー」向けに最新のチップを提供し、初期段階ではGrace Blackwellプロセッサ「GB300」1万8,000基とInfiniBandネットワーク技術を納入する。AMDもAIハードウェアを供給し、Humainとの共同投資額は100億ドルに達する見通しである。
さらに、AWSはHumainと「AIゾーン」を設立するため、50億ドル以上の投資を発表。これは2026年に稼働予定の新リージョンへの53億ドル投資とは別で、サウジ国内のAIスタートアップ支援を目的とする。同ゾーンではサーバー、ネットワーク機器、トレーニング・認証プログラムが整備される予定である。
Humainはサウジの政府系ファンドPIFの支援を受け、アラビア語モデルの開発と自国データセンターの構築を目指す。CEOのターリク・アミン氏によれば、2030年までに合計1.9ギガワットの処理能力を持つ施設を設置する計画である。また、サウジの法律により、個人情報や金融データは国内保管が義務づけられており、海外企業も現地インフラの構築が必要とされる。
これらの動きは、米トランプ政権が特定地域への高度技術輸出制限を緩和する新方針の一環であり、米企業に対して「ソブリンAI(主権国家主導のAI開発)」プロジェクトへの参入機会を提供する狙いがある。発表を受け、Nvidiaの株価は最大6.4%、AMDは4.5%上昇した。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
THE DECODER「Nvidia will supply advanced chips for Saudi Arabia’s Humain AI project」
コメント
サウジアラビアが国を挙げてAIインフラ構築に注力していることが明らかになりました。Humainを中心とした取り組みは、米国の主要企業との連携により、世界有数のAI拠点へと進化する可能性を秘めています。国家主導の「ソブリンAI」構想が進む中、日本を含む各国にとっても、データ主権や技術供給のあり方が問われる時代が到来しているといえるでしょう。今後の展開に注目です。